ただ一人、ひとり、そしてまた一人
今年、2008年のノーベル賞には3人の日本人が受賞し、日本をおおいに元気づけました。素粒子物理学の発展に貢献し、ノーベル物理学賞を受賞した、南部陽一郎、益川敏英、小林誠の3氏です。ノーベル賞受賞、本当におめでとうございます。
今から19年前の1979年12月10日、マザーテレサはノーベル平和賞を受賞しました。
受賞スピーチの際、アッシジの聖フランチェスコ(聖フランシスコ)による「平和の祈り」の全文を、ここで唱えました。
Lord, make a channel of thy peace that, where there is hatred, I may bring love; that, where there is wrong, I may bring the spirit of forgiveness; that, where there is discord, I may bring harmony; that, where there is error, I may bring truth; that, where there is doubt, I may bring faith; that, where there is despair, I may bring hope; that, where there are shadows, I may bring light; that, where there is sadness, I may bring joy.
Lord, grant that I may seek rather to comfort than to be comforted, to understand than to be understood; to love than to be loved; for it is by forgetting self that one finds; it is forgiving that one is forgiven; it is by dying that one awakens to eternal life.
主よ、あなたの平和をもたらす道具として、私をお使いください
憎しみのあるところには愛を
争いのあるところには許しを
分裂のあるところには一致を
誤りのあるところには真理を
疑いのあるところには信仰を
絶望のあるところには希望を
暗やみには光を
悲しみのあるところには喜びをもたらす者として
慰められるよりも慰めることを
理解されるよりも理解することを
愛されるよりも愛することを求める心をお与えください
忘れることによって自分を見いだし
許すことによって許され
自分を捨てて死に永遠の命をいただくのですから
マザーテレサは、ノーベル賞受賞者のための晩餐会には出席しませんでしたが、賞金の192,000ドルは、カルカッタの貧しい人々のためにと受け取りました。その賞金を受け取った時、彼女の口から出た言葉は、「このお金で、いくつのパンが買えますか?」だったそうです。
マザーテレサ(本名: アグネス ゴンジャ ボヤジュ)。
貧しい人々のための活動に尽力された、カトリック教会の福者です。
1946年、彼女が36歳になる年のことです。汽車に乗っていた時、「最も貧しい人の間で働くように」という啓示を受けたのだそうです。
1948年、教皇ピウス12世からの修道院外居住の特別許可を得た彼女は、修道院を出てカルカッタのスラム街へ。質素なサリーを身にまとい、学校に行くことができないホームレスの子供たちを集め、街頭で無料授業を始めました。
しばらくすると、彼女のもとに聖マリア学院時代の教え子たちがボランティアとして集まり始め、教会や地域の名士たちからの寄付が寄せられるようになりました。
1950年10月7日、修道会設立の許可を得ます。「神の愛の宣教者会」です。
同会の目的は「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」こと。
「もっとも貧しい人々のために働くこと」を使命とする、カトリックの女子修道会です。
彼女は修道会のリーダーとして、「マザー」と呼ばれるようになります。
一方で、自分の信じる道を進もうと決意し活動を続けていた彼女に戸惑い、それを受け入れることができない人たちもいました。
一部の社会活動家や政治家からの活動への疑問に対する、マザーテレサの答
質問者「あなたのしていることは確かに素晴らしいけど、もっと大がかりで現実的なやり方があるのでは?」
マザーテレサ「私は大仕掛けのやり方には反対です。大切なのは、一人ひとりの個人。愛を伝えるには、一人の個人として、相手に接しなければなりません。多くの数が揃うのを待っていては、数の中に道を見失い、一人のための愛と尊敬を伝えることはできないでしょう。一人ひとりの触れ合いこそが、何よりも大切なのです。」
I do not agree with the big way of doing things. To us what matters is an individual. To get to love the person we must come in close contact with him. If we wait till we get the numbers, then we will be lost in the numbers. And we will never be able to show that love and respect for the person. I believe in person to person...
「一人ひとりの触れ合いこそが、何よりも大切」
彼女の残したメッセージを、あなたもひとつひとつ丁寧に考えてみませんか。
「私は、なぜ男性と女性が全く同じであると考え、男女の間の素晴らしい違いを否定する人たちがいるのか理解できません」
「女性特有の愛の力は、母親になったときに最も顕著に現れ、神様が女性に与えた最高の贈り物。それが母性なのです」
「子どもたちが愛することと、祈ることを学ぶのに最もふさわしい場が家庭であり、家庭で父母の姿から学ぶのです。家庭が崩壊したり、不和になったりすれば、多くの子は愛と祈りを知らずに育ちます。家庭崩壊が進んだ国は、やがて多くの困難な問題を抱えることになるでしょう」
(上記、北京世界女性会議へ宛てたメッセージ)
「日本人はインドのことよりも、日本のなかで貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです。愛はまず手近なところから始まります」
(1981年4月、初来日の際、「何か日本にできることはありますか」という問いに)
「私は受賞に値するような人間ではないけれど、世界の最も貧しい人々に代わってこの賞を受けます」
(ノーベル平和賞授賞式でのスピーチ)
「帰って家族を大切にしてあげてください」
(ノーベル平和賞受賞の際、インタビューで「世界平和のために私たちはどんなことをしたらよいですか」という問いに)
「愛の反対は憎しみではなく、無関心」
「この世で最大の不幸は戦争や貧困などではない。むしろそれによって見放され、『自分は誰からも必要とされていない』と感じること」
「銃や砲弾が世界を支配してはならない。大切なのは愛である」
「愛は、それぞれの季節が実らせる果実といえます」
「反戦集会には参加しませんが、平和集会には喜んで参加します」
彼女が生前、人々に語り続けたというこの言葉を聞いた時、僕は感動で鳥肌が立ちました。
I have never counted the numbers. I have just taken one, one, one.
「私は決して助けた人を数えたりしません。ただ一人、ひとり、そしてまた一人」
彼女が設立した「神の愛の宣教者会」ですが、彼女の愛を受け継ぎ、現在では133の国と地域で活動し、4500人以上の修道女がいます。1997年9月5日、87歳でこの世を去ったマザーテレサの愛は、今もなお世界中で広がり続けています。
晩年、神の沈黙と不在に絶望し、孤独にさいなまれていたことが、彼女が亡くなった後に公開された書簡によって、明らかになりました(2007年9月3日付 TIME誌「The Secret Life of Mother Terasa」)。
TIME Magazine Cover: The Secret Life of Mother Teresa - Sep. 3, 2007
www.time.com/time/covers/0,16641,20070903,00.html
Mother Teresa's Crisis of Faith - TIME
www.time.com/time/world/article/0,8599,1655415,00.html
そんな心の状態でも、自分に厳しく常に活動を続けられていたのかと思うと、本当に頭が下がります(十字架の上で、神が離れていく孤独を味わった、イエスの苦悩を思い出しました)。と同時に、彼女の周りに彼女を癒す人はいなかったのだろうかと思うと、本当に残念でなりません。
もちろん、
マザーテレサは分かっていたはずです。
神の沈黙の意味も、神が存在することも。
とはいえ現代は、
マザーテレサのような方でさえ、神の沈黙と不在に絶望感を意識してしまうほどの世の中だということなのです。
これがどういうことなのかを、
あなたも自分なりに考えてみませんか。
今一度、彼女の残したメッセージを読み返してみてください。
そしてあなたができることから、今すぐに始めましょう。
今から19年前の1979年12月10日、マザーテレサはノーベル平和賞を受賞しました。
受賞スピーチの際、アッシジの聖フランチェスコ(聖フランシスコ)による「平和の祈り」の全文を、ここで唱えました。
Lord, make a channel of thy peace that, where there is hatred, I may bring love; that, where there is wrong, I may bring the spirit of forgiveness; that, where there is discord, I may bring harmony; that, where there is error, I may bring truth; that, where there is doubt, I may bring faith; that, where there is despair, I may bring hope; that, where there are shadows, I may bring light; that, where there is sadness, I may bring joy.
Lord, grant that I may seek rather to comfort than to be comforted, to understand than to be understood; to love than to be loved; for it is by forgetting self that one finds; it is forgiving that one is forgiven; it is by dying that one awakens to eternal life.
主よ、あなたの平和をもたらす道具として、私をお使いください
憎しみのあるところには愛を
争いのあるところには許しを
分裂のあるところには一致を
誤りのあるところには真理を
疑いのあるところには信仰を
絶望のあるところには希望を
暗やみには光を
悲しみのあるところには喜びをもたらす者として
慰められるよりも慰めることを
理解されるよりも理解することを
愛されるよりも愛することを求める心をお与えください
忘れることによって自分を見いだし
許すことによって許され
自分を捨てて死に永遠の命をいただくのですから
マザーテレサは、ノーベル賞受賞者のための晩餐会には出席しませんでしたが、賞金の192,000ドルは、カルカッタの貧しい人々のためにと受け取りました。その賞金を受け取った時、彼女の口から出た言葉は、「このお金で、いくつのパンが買えますか?」だったそうです。
マザーテレサ(本名: アグネス ゴンジャ ボヤジュ)。
貧しい人々のための活動に尽力された、カトリック教会の福者です。
1946年、彼女が36歳になる年のことです。汽車に乗っていた時、「最も貧しい人の間で働くように」という啓示を受けたのだそうです。
1948年、教皇ピウス12世からの修道院外居住の特別許可を得た彼女は、修道院を出てカルカッタのスラム街へ。質素なサリーを身にまとい、学校に行くことができないホームレスの子供たちを集め、街頭で無料授業を始めました。
しばらくすると、彼女のもとに聖マリア学院時代の教え子たちがボランティアとして集まり始め、教会や地域の名士たちからの寄付が寄せられるようになりました。
1950年10月7日、修道会設立の許可を得ます。「神の愛の宣教者会」です。
同会の目的は「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」こと。
「もっとも貧しい人々のために働くこと」を使命とする、カトリックの女子修道会です。
彼女は修道会のリーダーとして、「マザー」と呼ばれるようになります。
一方で、自分の信じる道を進もうと決意し活動を続けていた彼女に戸惑い、それを受け入れることができない人たちもいました。
一部の社会活動家や政治家からの活動への疑問に対する、マザーテレサの答
質問者「あなたのしていることは確かに素晴らしいけど、もっと大がかりで現実的なやり方があるのでは?」
マザーテレサ「私は大仕掛けのやり方には反対です。大切なのは、一人ひとりの個人。愛を伝えるには、一人の個人として、相手に接しなければなりません。多くの数が揃うのを待っていては、数の中に道を見失い、一人のための愛と尊敬を伝えることはできないでしょう。一人ひとりの触れ合いこそが、何よりも大切なのです。」
I do not agree with the big way of doing things. To us what matters is an individual. To get to love the person we must come in close contact with him. If we wait till we get the numbers, then we will be lost in the numbers. And we will never be able to show that love and respect for the person. I believe in person to person...
「一人ひとりの触れ合いこそが、何よりも大切」
彼女の残したメッセージを、あなたもひとつひとつ丁寧に考えてみませんか。
「私は、なぜ男性と女性が全く同じであると考え、男女の間の素晴らしい違いを否定する人たちがいるのか理解できません」
「女性特有の愛の力は、母親になったときに最も顕著に現れ、神様が女性に与えた最高の贈り物。それが母性なのです」
「子どもたちが愛することと、祈ることを学ぶのに最もふさわしい場が家庭であり、家庭で父母の姿から学ぶのです。家庭が崩壊したり、不和になったりすれば、多くの子は愛と祈りを知らずに育ちます。家庭崩壊が進んだ国は、やがて多くの困難な問題を抱えることになるでしょう」
(上記、北京世界女性会議へ宛てたメッセージ)
「日本人はインドのことよりも、日本のなかで貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです。愛はまず手近なところから始まります」
(1981年4月、初来日の際、「何か日本にできることはありますか」という問いに)
「私は受賞に値するような人間ではないけれど、世界の最も貧しい人々に代わってこの賞を受けます」
(ノーベル平和賞授賞式でのスピーチ)
「帰って家族を大切にしてあげてください」
(ノーベル平和賞受賞の際、インタビューで「世界平和のために私たちはどんなことをしたらよいですか」という問いに)
「愛の反対は憎しみではなく、無関心」
「この世で最大の不幸は戦争や貧困などではない。むしろそれによって見放され、『自分は誰からも必要とされていない』と感じること」
「銃や砲弾が世界を支配してはならない。大切なのは愛である」
「愛は、それぞれの季節が実らせる果実といえます」
「反戦集会には参加しませんが、平和集会には喜んで参加します」
彼女が生前、人々に語り続けたというこの言葉を聞いた時、僕は感動で鳥肌が立ちました。
I have never counted the numbers. I have just taken one, one, one.
「私は決して助けた人を数えたりしません。ただ一人、ひとり、そしてまた一人」
彼女が設立した「神の愛の宣教者会」ですが、彼女の愛を受け継ぎ、現在では133の国と地域で活動し、4500人以上の修道女がいます。1997年9月5日、87歳でこの世を去ったマザーテレサの愛は、今もなお世界中で広がり続けています。
晩年、神の沈黙と不在に絶望し、孤独にさいなまれていたことが、彼女が亡くなった後に公開された書簡によって、明らかになりました(2007年9月3日付 TIME誌「The Secret Life of Mother Terasa」)。
TIME Magazine Cover: The Secret Life of Mother Teresa - Sep. 3, 2007
www.time.com/time/covers/0,16641,20070903,00.html
Mother Teresa's Crisis of Faith - TIME
www.time.com/time/world/article/0,8599,1655415,00.html
そんな心の状態でも、自分に厳しく常に活動を続けられていたのかと思うと、本当に頭が下がります(十字架の上で、神が離れていく孤独を味わった、イエスの苦悩を思い出しました)。と同時に、彼女の周りに彼女を癒す人はいなかったのだろうかと思うと、本当に残念でなりません。
もちろん、
マザーテレサは分かっていたはずです。
神の沈黙の意味も、神が存在することも。
とはいえ現代は、
マザーテレサのような方でさえ、神の沈黙と不在に絶望感を意識してしまうほどの世の中だということなのです。
これがどういうことなのかを、
あなたも自分なりに考えてみませんか。
今一度、彼女の残したメッセージを読み返してみてください。
そしてあなたができることから、今すぐに始めましょう。
Home > みたまブログ > ただ一人、ひとり、そしてまた一人